Vibrotactile Display: Perception, Technology, and Applicationsを読んだ
S.ChoiとK.J.Kuchenbeckerによるvibrotactile displayの入門書を読んだ. 12ページと分量も多くないし,簡潔に書かれていてとても良みやすいと思う. 振動触覚を仕事で扱う人や学生さん(私)にぜひオススメ.
振動触覚のアプリでの活用時のデザインのTipsが所々に載っていた. Choi氏のご自身の論文がそういった観点で引用されていたので今後読んでいきたい.
以下は私のメモ
2章 振動触覚知覚
「ユーザは振動触覚を感じられるか?」
- 人が感じられる最小刺激が調査されてきた.
- 指を直接刺激する場合の閾値について詳しくは以下を参照
- L.A.Jones and S. J. Lederman, "Human Hand Function". New York: Oxford Univ. Press, 2006.
- G.A.Gescheider, J. H. Wright, and R. T. Verrillo, "Information-Processing Channels in the Tactile Sensory System: A Psychophysical and Physiological Analysis". New York: Psychology Press, 2008.
- 道具を介した振動による刺激の場合の閾値について詳しくは以下を参照
- M.Morioka and M. J. Griffin, "Thresholds for the perception of hand-transmitted vibration: Dependence on contact area and contact location," Somatosens. Motor Res., vol. 22, no. 4, pp. 281–297, 2005.
- J.Ryu, J. Jung, G. Park, and S. Choi, "Psychophysical model for vibrotactile rendering in mobile devices", Presence, Teleoper. Virtual Environ., vol. 19, no. 4, pp. 1–24, 2010.
「ユーザは2つの異なる振動を区別できるか?」
- 2つの刺激を十分区別できる最小の刺激の違い(JND)が調査されてきた
- 通常,JNDは比較刺激に依存して変化するけど,Weber fractionは一定になる傾向がある.ところが振動知覚の場合は例外的で幅がある.
- 刺激の強さに対するWeber fractionはだいたい10%-30%.
- 周波数に対するWeber fractionはだいたい15%-30%
- 筆者らによると実際のアプリで振動刺激の差分をロバストにユーザに伝える場合には,概して20%-30%の差分は刺激強度・周波数野どちらに対しても必要とのこと.結構大きい.
- 通常,JNDは比較刺激に依存して変化するけど,Weber fractionは一定になる傾向がある.ところが振動知覚の場合は例外的で幅がある.
「刺激はどのくらい強く感じられるか?」
- 刺激の大きさが人が感じられる最小刺激よりも大きいとき,大きさが感じられる
- その感じられる大きさは,刺激がIとするときsteven’s power lawに従ってφ(I)= kIeとなる
- eは振動刺激の場合0.35~0.86の間
- eは周波数を始め刺激環境に依存
「刺激のタイミングをどれくらい正確に判断できるか?」
- 振動刺激の場合刺激タイミングは結構正確に判断できる
- パルス刺激を連続的に提示したとき振動刺激の場合5ms間隔の刺激を区別できる
- G.A. Gescheider, J. H. Wright, and R. T. Verrillo, "Information-Processing Channels in the Tactile Sensory System: A Psychophysical and Physiological Analysis". New York: Psychology Press, 2008.
- これは視覚よりも高速(25ms).でも聴覚よりは遅い(0.01ms)
- L.A. Jones and S. J. Lederman, "Human Hand Function". New York: Oxford Univ. Press, 2006.
- パルス刺激を連続的に提示したとき振動刺激の場合5ms間隔の刺激を区別できる
「振動触覚による他の知覚効果は?」
- 周波数によって感じられ方が変わる
- H.Z. Tan, N. I. Durlach, C. M. Reed, and W. M. Rabinowitz, "Information transmission with a multifinger tactual display", Percep. Psychophys., vol. 61, no. 6, pp. 993–1008, 1999.
- 3Hz以下だとkinesthetic motionに感じられる
- 10-70Hzだと粗い動きやflutteringに感じられる
- 100-300Hzだとスムーズな振動に感じられる
- 主観的評価は振幅のenvelopによって変わる
「2つの隣接する振動刺激をどれくらい正確に区別できるか?」
- 2つのプローブを同時に使って皮膚を刺激して,2点弁別閾で空間の識別性を調べてきた ところが2つのプローブからの同時刺激する分,刺激強さが大きくなり影響を及ぼす可能性あり.
- 現在は代わりに
- 1点のみ刺激してlocalization thresholdsを調査(刺激は1度に1点のみ)
- grating orientation thresholdを調査(よくわからない)
「時空間的なパターン刺激に対して何を感じられるか?」
- この辺はよくあるやつだったので割愛(ファントムセンセーション等)
7章 アプリ(マルチメディア)
私達の作ってる触覚デザインを効率化する振動の生成モデルも 以下の文脈に絡めて位置付けを紹介しないとダメなんだなと思った.
オーサリング
マルチメディアアプリでは触覚は視覚や聴覚と同期させてユーザに伝える必要がある. そのような同期を実現するためにデザイナーはツールを使うが,大きく2つのアプローチがある.
- 1つは動画や音声に合わせてスクラッチで振動を作る方法.
- Kim, J. Cha, I. Oakley, and J. Ryu,: Exploring tactile movies: An initial tactile glove design and concept evaluation, IEEE Multimedia, 2009, DOI: 10.1109/MMUL. 2009.63
- Lee and S. Choi, :Evaluation of vibrotactile pattern design using vibrotactile score, in Proc. IEEE Haptics Symp., 2012, pp. 231–238.
- もう1つは動画や音声から自動生成する方法.
- こちらはあまり進んでいない.