本エントリは ヒューマンコンピュータインタラクション論文紹介 Advent Calendar 2016の18日目です。
2015年のWorld Haptic Conference(WHC)で発表された,
「Shape and Friction Recognition of 3D Virtual Objects by Using 2-DOF Indirect Haptic Interface」を紹介します.
WHCはHaptics symposiumやEurohapticsなどと同じ触覚系の国際学会です.
論文の概要
著者ページでは動画が公開されています.
- Indirect haptic feedbackの提案
- 構築したシステム
- 指先の位置を測って,母指球の位置に反力を返す
- user studyによって,indirect haptic feedbackのある場合に以下を知覚できることがわかった.
- 3Dオブジェクトの表面
- 3Dオブジェクトと指との摩擦力
(著者ページから引用)
接触点と反力を与える点を分離するアプローチ
- 従来の触覚インターフェースだと,接触点と反力を与える点は一致していた
- そのせいで接触部はアクチュエータ等で覆われることになり,ARアプリなど裸の指でなにかに触れる体験はできなかった.
- これを避ける方法としては,接触点と反力を与える点を分離するアプローチがある
(これを著者らはindirect haptic feedbackと呼んでいる)
- Indirect haptic feedbackの類似研究
- 手術時の対側提示
Asymmetric force feedback control framework for teleoperated robot-assisted surgery - 本文では述べられていないが,片手操作時の触覚対側提示については下記が詳しい
把持操作における触覚対側提示の効果に関する検討 - 同様に本文では述べられていないが、足裏に接触点の反力を返したりも行われている。 http://www.hirota-lab.sumomo.ne.jp/index.php?cat=research&name=foot-hap
- 手術時の対側提示
システム構成
- Indirect haptic interfaceの設計
- 指でオブジェクトを操作するが
母指球で反力を返すようにする - そうすれば,指を自由に動かせる
- 2自由度,力覚フィードバック
- 力覚センサをもとに反力を計算
- 指でオブジェクトを操作するが
(著者ページから引用)
User study
User study A: Shape Trace Experiment
- 立方体と球の表面を知覚できるかを
- 「indirect haptic rendering」ありとなしの条件で比較
- よくあるLikert scale評価
- 「立方体の側面を触った感じがするか」
- 「立方体の角を触った感じがするか」
- 「立方体の上面を触った感じがするか」
- 「立方体の下面を触った感じがするか」
- 「Does it feel like you are touching the equatorial plane of the sphere?」
- 「Does it feel like you are touching the plane of meridian of the sphere?」
- 結果
- Indirect haptic renderingありの方がなしよりも,数値が有意に高い.
User study B: Friction Discrimination Experiment
- 摩擦力を弁別できるかを調査
- 標準刺激に対する比較刺激の大きさを答える形式
- 結果
- 少なくとも5つの摩擦係数の違いを弁別できたと言える.
Discussion
- limitation
- システムの組みかただと,上向きの力は測れない
Advent Calendarの感想(余談)
普段,内輪で輪講するときは論文の図もそのまま載せて紹介してしまうが,
こういう外向きの資料だと,図はそのまま載せられないので紹介が難しい.
今回はたまたま著者ページがあり,そこから引用できたため助かった.